相続関連

株式と投資信託の相続手続き:スムーズな遺産継承のために

株式と投資信託
Nose Kohei

はじめに

相続は、故人の財産を法的に引き継ぐ重要なプロセスです。特に株式や投資信託のような金融資産の場合、適切な手続きを行うことが不可欠です。投資信託は、投資家から集めた資金を専門家が運用し、その成果を投資家に分配する金融商品です。株式と同様に、投資信託も相続財産として扱われます。相続手続きでは、故人が保有していた「受益権」の移転が中心となります。

株式と投資信託の相続手続きの流れ

株式や投資信託の相続手続きには、いくつかの重要なステップがあります。以下に、その詳細な流れを説明します。

株式の相続手続き

株式の相続手続きには、上場株式と非上場株式で異なる点がありますが、一般的な流れは以下の通りです。

上場株式の相続手続きの流れ

  1. 証券会社への通知: 故人が亡くなったことを、株式を管理している証券会社に通知します。
  2. 必要書類の準備: 戸籍謄本や遺産分割協議書など、相続手続きに必要な書類を集めます。
  3. 名義変更の申請: 故人名義の株式を相続人に移転するための申請を行います。
  4. 相続人の証券口座の開設: 相続人がまだ証券口座を持っていない場合は、新規に開設します。
  5. 株式の振替: 相続人名義の証券口座に株式を振り替えます。
  6. 相続税の申告: 株式の評価を行い、相続税の申告をします。

非上場株式の相続手続きの流れ

  1. 株式発行会社への通知: 故人の死亡を株式発行会社に通知し、相続の意向を伝えます。
  2. 株主名簿の書換え: 株式発行会社の株主名簿に記載されている故人の名義を相続人に書き換えます。
  3. 株券の取扱い: 実際に株券を発行している場合は、それを相続人に引き渡します。
  4. 譲渡制限株式の確認: 譲渡制限がある株式の場合は、その取扱いについて確認します。
  5. 相続税の申告: 株式の評価を行い、相続税の申告をします。

投資信託の相続手続き

投資信託の相続手続きの流れは以下のようになります。

  1. 金融機関の特定: 故人がどの金融機関で投資信託を取引していたかを特定します。
  2. 金融機関に連絡: 相続開始日の残高証明書を取得し、故人の投資信託の口座を凍結します。
  3. 投資信託の分割方法の確定: 遺言書がある場合はその指示に従い、なければ相続人間で協議を行います。
  4. 必要書類の提出と相続手続きの申請: 遺言書や遺産分割協議書、法定相続情報一覧図の写し等を金融機関に提出します。
  5. 相続人口座への移管手続き: 相続手続きが完了すれば、投資信託は相続人の口座に移管されます。
  6. 相続税の申告手続き: 相続税の申告と納税を行います。

注意点として、投資信託は価額変動があるため、相続時点での正確な評価が必要です。また、相続税以外にも生じる費用に注意が必要です。

株式と投資信託の相続手続きの注意点

株式と投資信託の相続手続きにはいくつかの注意点と対策があります。以下にそれぞれの要点をまとめました。

株式の注意点

  1. 相続財産の中に株がある場合、遺産分割協議を行う必要があります。共同相続人がいる場合は、誰が株を相続するかを決めるためです。
  2. 株の価値は日々変動するため、遺産分割協議時の株価評価が重要です。
  3. 上場企業の株式と非上場企業の株式では、手続きが異なります。上場株式は証券会社を通じて、非上場株式は発行会社に直接、名義変更の手続きを行います。
  4. 上場企業の株を相続する場合、証券口座の開設が必要になることがあります。
  5. 手続きには多くの書類が必要で、手間がかかることがあります。事前に必要書類を確認し、準備しておくことが大切です。

投資信託の注意点

  1. 投資信託の価値も市場価格によって変動します。遺産分割協議中も価値が変わるため、評価時期を明確にする必要があります。
  2. 元本償還金や収益分配金などの金額も考慮する必要があります。
  3. 投資信託を売却して現金化する場合は、解約違約金に注意が必要です。

相続税の申告が必要な場合、申告には期限があるため、期限内に適切な手続きを行うことが重要です。株式や投資信託の詳細な管理記録を保持し、必要な書類を整理しておくことも、スムーズな相続手続きに役立ちます。

株式と投資信託の相続手続きを専門家に依頼するメリットとデメリット

株式と投資信託の相続手続きを専門家に依頼する際のメリットとデメリットは以下の通りです。

メリット

  1. 専門知識: 専門家は相続法や税法に精通しており、複雑な手続きを正確に行うことができます。
  2. 時間の節約: 相続手続きは時間がかかる作業ですが、専門家に依頼することで、その時間を節約できます。
  3. トラブルの防止: 正しい手続きを行うことで、将来的な法的トラブルを防ぐことができます。
  4. 税務対策: 税理士などの専門家は、税務面での最適な対策を提案してくれます。

デメリット

  1. 費用: 専門家に依頼すると、その分の費用が発生します。
  2. プライバシー: 財産状況などのプライベートな情報を専門家に開示する必要があります。個人情報の取り扱いについて、不安がある場合は、依頼前に必ず個人情報保護方針を確認しましょう。

専門家に依頼するかどうかは、相続財産の規模や複雑さ、自身の知識や時間、費用などを総合的に考慮して決定することが重要です。

まとめ

株式や投資信託の相続手続きは複雑に感じるかもしれませんが、事前の準備正確な情報に基づいた手続きにより、スムーズに進めることが可能です。相続は故人の意志を尊重し、遺族間のトラブルを避けるためにも、適切な手続きが求められます。相続手続きは複雑で専門的な知識が必要な場合が多いため、不明点がある場合は専門家に相談することをお勧めします。

遺言・相続専門の当行政書士事務所では、街の身近な法律家としてお客様に寄り添い「安心」「丁寧」なサポートを心がけております。また、各事案に応じて、信頼できる専門家と連携し、業務を進めてまいります。を相続税の申告が必要な場合は税理士を、相続登記が必要な場合は司法書士をご紹介させていただきます。遺言・相続についてお悩みのある方は、お気軽にお問合せくださいませ。

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相続・空き家の専門家
野瀬 航平
野瀬 航平
株式会社アンモライト代表取締役/ノア行政書士事務所代表
1995年3月生。中学校教員を勤めた後、学生時代のアルバイト先へUターン。日本一のカラオケ企業を志すも失敗。▶不動産業で再スタートし、大手賃貸仲介・管理会社から、士業連携の売買仲介・コンサル会社を経て起業。▶相続放棄された地方の空き家を再生し、利回り30%で運用中。■保有資格: 行政書士/宅地建物取引士/FP2級/賃貸不動産経営管理士 ■第35回SASUKE出場
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