先手を打つことが大事!任意後見制度の活用
任意後見制度とは?
任意後見制度とは、判断能力が十分でなくなる前に、自分の財産や身の回りのことを信頼できる人に任せるための法的な契約です。この制度は、将来的に判断能力が低下した際に、事前に選定した任意後見人が、本人の意思に基づいて財産管理や日常生活のサポートを行うことを可能にします。
任意後見制度のメリットとデメリット
メリット
任意後見制度のメリットは以下の通りです。
- 自己決定権の尊重: 本人が元気なうちに自らの意思で後見人を選ぶことができます。これにより、本人の意向を尊重しながらサポートを受けることができます。
- 家族間のトラブル防止: 事前に後見人を指定しておくことで、将来的な家族間の意見の対立やトラブルを防ぐことができます。後見人の選定により、家族間の信頼関係を保つことができます。
- 迅速な対応: 判断能力が低下した際に、すぐに後見人が対応できるため、本人の利益を守ることができます。適切なサポートを迅速に行うことができます。
デメリット
任意後見制度のデメリットは以下の点に注意が必要です。
- 手続きの複雑さ: 契約の締結には公証人の関与が必要であり、手続きが複雑になることがあります。公証人との調整や書類の作成に時間と労力がかかることがあります。
- 費用: 任意後見制度の契約には一定の費用がかかります。公証人費用や後見人に支払う報酬などがあります。これらの費用を事前に把握しておくことが重要です。
- 後見人の選定の難しさ: 適切な後見人を選定することは重要ですが、信頼関係できる人を見つけることが難しい場合もあります。後見人の選定に慎重に取り組む必要があります。
任意後見制度を利用する流れ
任意後見制度の手続きは以下のステップで進められます。
- 任意後見受任者を決める: 本人が信頼できる人を任意後見受任者(任意後見人)として選びます。家族や親戚、友人、行政書士、司法書士、弁護士、法人などが選ばれることがあります。ただし、一部の人は任意後見人になることができません(未成年者、家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人、補助人、破産者など)。
- 任意後見人にしてもらいたいことを決める: 本人が代わりにしてもらいたいことを考えます。契約内容は公正証書によって定められ、財産管理や医療、介護サービス締結などが含まれます。具体的な希望や金額を記載したライフプランを作成すると良いでしょう2。
- 任意後見契約を結ぶ: 本人と任意後見受任者が公正証書を作成して契約を結びます。公正証書によらない任意後見契約は無効となるため、公正証書の作成が必要です。契約内容は自由に決めることができます。
- 判断能力が低下したら「任意後見監督人選任の申し立て」をする: 本人の判断能力が低下した場合、家庭裁判所で任意後見監督人が選任されて初めて任意後見契約の効力が生じます。申立て先は本人の住所地の家庭裁判所です。
任意後見人と任意後見監督人の違い
任意後見人と任意後見監督人の違いを以下に説明します。
任意後見人
- 本人が判断能力を失った際に、日常生活や財産管理などのサポートを行う役割を担います。
- 本人が事前に選定した信頼できる人が任意後見人となります。
- 任意後見契約に基づいて、本人の意思に基づいて行動します。
任意後見監督人
- 本人の判断能力が低下した際に、任意後見人が適切に仕事をしているか監督する役割を担います。
- 本人の住所地の家庭裁判所で選任され、後見人の行動を監視します。
- 任意後見人が適切に本人の利益を守っているかを確認します。
まとめるとに、任意後見人は本人のサポートを行い、任意後見監督人は後見人の行動を監視する役割を果たします。
任意後見制度の利用にかかる費用
任意後見制度の利用にかかる費用は以下のようになります。
任意後見契約書の作成費用(契約成立時)
- 作成に関する基本手数料:11,000円
- 嘱託登記の手数料:1,400円
- 法務局へ納付するための印紙代:2,600円
- その他雑費(本人に交付する正本等の証書代、嘱託登記書を郵送するための切手代など)
自分で契約書の作成手続きをした場合には、合計で2万円程度の費用がかかります。外出が難しい場合、公証人に出張してもらい、任意後見契約書を作成してもらうことも可能ですが、日当(一日につき2万円、4時間以内の時は1万円)及び旅費(交通費の実費)を別途支払う必要があります。
任意後見監督人選任申立の費用(成立後)
- 申立に関する手数料:800円分の収入印紙
- 登記にかかる手数料:1,400円分の収入印紙連絡用としての郵便切手代
申立をする家庭裁判所へ確認して、連絡用の郵便切手について詳細を確認してください。また、家庭裁判所が本人の精神鑑定を必要とした場合は、鑑定費用(5~10万円程度)が別途必要となります。
これらの費用は、地域や専門家によって異なる場合がありますので、具体的な金額は契約内容や相談先の家庭裁判所にお問い合わせいただくことをおすすめします。
任意後見制度の活用例
任意後見制度を活用する具体的な例をいくつかご紹介します。
- 頼れる親族がおらず、第三者に後見を依頼したい場合: 本人の親族が遠方に住んでいたり、信頼できる親族がいない場合、第三者(友人や専門家)に後見を依頼することがあります。このような場合、任意後見制度を活用して、将来の財産管理や生活のサポートを委任することができます。
- 未成年の子どもが障害を持っている場合: 未成年の子どもが知的障害や身体障害を持っている場合、将来の判断能力の低下に備えて任意後見契約を締結することがあります。親が亡くなったり、親の判断能力が低下した場合に、子どもの生活や財産管理をサポートするために任意後見制度を活用します。
まとめ
任意後見制度は、本人の意思を尊重しながら将来的なサポートを確実に受けられるようにするための重要な手段です。適切な手続きを行うことで、将来的なトラブルを避けることができます。
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