相続関連

デジタル資産の相続:新時代の遺産問題

デジタル資産
Nose Kohei

はじめに:デジタル資産とは何か?

デジタル資産とは、インターネット上で管理される資産のことを指し、暗号資産(仮想通貨)、電子マネー、クレジットカードのポイント、NFTアート、オンライン口座などが含まれます。これらは、相続の対象となる可能性があります。デジタル資産には様々な形があり、それぞれ管理方法や相続時の取り扱いが異なります。

デジタル資産の相続に関する具体例

デジタル資産の相続に関する具体的な事例については、以下のようなものがあります:

  1. ネットバンキングで管理する預金: 無通帳口座の残高やネット銀行の口座残高は、デジタル資産として相続の対象になります。
  2. 電子マネーのチャージ残高: SuicaやPASMOなどの交通系電子マネーや、PayPayなどのキャッシュレス決済サービスのチャージ残高も、デジタル資産に含まれます。
  3. クレジットカードのポイントやマイル: クレジットカード利用で貯まるポイントや航空会社のマイルも、デジタル資産として相続可能です。
  4. 暗号資産(仮想通貨): ビットコインなどの暗号資産は、仮想通貨取引所に預け入れられている場合や、所有者自身が管理するウォレットにある場合、相続財産となります。
  5. デジタルの著作物(著作権): 音楽や画像、動画などのデジタル著作物に関する著作権も、相続の対象となるデジタル資産です。
  6. NFTアート: NFTを用いたデジタルアート作品も、制作者の知名度や訴求力に応じて高い価値が認められるため、相続争いの対象になることがあります。
  7. ネット銀行やネット証券の口座: ネット銀行やネット証券の口座残高も、デジタル資産として相続されます。

これらの事例は、デジタル資産がどのように相続の対象となるかを示しています。相続手続きでは、これらの資産の存在を確認し、適切な手続きを行うことが重要です。

デジタル資産の相続手続き

概要

デジタル資産の相続手続きは、一般的な遺産の手続きと基本的に同じですが、名義変更の方法や手続きについては、デジタル資産の種類や保管サービスの利用規約などに応じて異なります。亡くなった人が保有していた財産は、原則としてデジタル資産も含め、全て相続の対象となります。

注意点

デジタル資産は物理的な存在がないため、相続人が存在を知らないことが多く、相続手続きが困難になることがあります。また、IDやパスワードが分からないとアクセスできないため、生前に情報を整理し、家族と共有しておくことが重要です。

生前対策

デジタル資産の相続に備えて、所有しているデジタル資産のリストアップや、ログインIDやパスワードなどの情報を整理し、信頼できる家族や専門家に伝えておくことが推奨されます。デジタル資産の相続は、新しい問題であり、今後さらに重要性が増していくと考えられます。相続の専門家に相談することで、より具体的な対策を立てることができるでしょう。

デジタル資産の法的ポイント

デジタル資産の相続における法的ポイントは、以下のような要素を含んでいます:

  1. 相続対象の確定: デジタル資産は、亡くなった人が保有していた財産であれば、原則として相続の対象となります。
  2. アクセス情報の重要性: デジタル資産へのアクセスには、IDやパスワードなどの情報が必要です。これらがなければ、相続人が資産を管理することは困難です。
  3. 法的手続きの遵守: 相続手続きは、デジタル資産の種類や保管サービスの利用規約に応じて異なります。適切な名義変更やアカウントの凍結・削除など、法的要件に従って行う必要があります。
  4. プライバシーとセキュリティの確保: デジタル資産は多くの個人データを含むため、相続手続き中にプライバシーとセキュリティを確保することが重要です。
  5. 専門家への相談: デジタル資産の相続は複雑な場合が多いため、法的なアドバイスを得るために専門家への相談が推奨されます。
  6. 生前対策の重要性: デジタル資産のリストアップやアクセス情報の整理、遺言書における明示的な取り扱いなど、生前に相続対策を行うことが重要です。

これらのポイントは、デジタル資産の相続において特に注意を払うべき事項です。相続がスムーズに進むよう、これらの要素を考慮した対策を講じることが望ましいでしょう。

他の遺産の問題と比較して

デジタル資産の相続と他の遺産問題との主な違いは、以下の点にあります:

  1. 気づきにくさ: デジタル資産は物理的な形がなく、オンラインで管理されているため、相続人がその存在に気づかないことが多いです。これに対して、従来の遺産は通帳や権利証などの形で存在しているため、発見しやすいです。
  2. アクセス情報の必要性: デジタル資産にアクセスするためには、IDやパスワードなどの情報が必要です。これらの情報がないと、相続人は資産を管理・利用することができません。
  3. 専門知識の不足: デジタル資産の相続に関する専門知識はまだ一般的ではなく、相続の専門家であっても詳しく知らないことが多いです。これはデジタル資産の歴史が浅く、取り扱いの蓄積が少ないためです。
  4. 相続手続きの複雑さ: デジタル資産の相続手続きは、名義変更の方法や手続きがデジタル資産の種類や保管サービスの利用規約に応じて異なり、煩雑になりがちです。
  5. デジタル「負債」の問題: デジタル資産には、暗号資産のように価値が変動するものもあり、相場の変動によってはマイナスの遺産となる可能性があります。これは、従来の遺産にはあまり見られない特徴です。

これらの違いにより、デジタル資産の相続は他の遺産問題と比較して特有の課題を抱えており、相続人や遺族はこれらの点に注意して対策を講じる必要があります。また、デジタル資産の相続に関する法的な枠組みやガイドラインが今後さらに整備されることが期待されます。

他の遺産と比較して生前対策がより重要

デジタル資産の相続における生前対策には、以下のような方法があります:

  1. 財産目録の作成: 所有しているデジタル資産の一覧を作成し、取引先の連絡先やログインID、パスワードも記載しておくことが重要です。
  2. 情報の整理と共有: デジタル資産に関する情報を整理し、信頼できる家族や弁護士に伝えておくことで、相続時の手続きをスムーズに進めることができます。
  3. 専門家への相談: 相続に関する法的なアドバイスを得るために、弁護士などの専門家に相談することが推奨されます。
  4. 遺言書の作成: デジタル資産の取り扱いについて明確に記載した遺言書を作成することで、相続人に意思を伝えることができます。

これらの対策を行うことで、デジタル資産の相続に関するトラブルを防ぎ、相続人が相続財産を正確に把握しやすくなります。また、相続税の申告後にデジタル資産が見つかった場合の手続きのやり直しや、相続税を払い過ぎるリスクを減らすことができます。

まとめ:デジタル資産の相続対策

デジタル資産の相続に備えて、所有しているデジタル資産のリストアップや、ID・パスワードなどの情報を整理しておくことが推奨されます。また、生前に家族と共有しておくことも大切です。

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この記事を書いた人
野瀬 航平
野瀬 航平
株式会社アンモライト代表取締役/ノア行政書士事務所代表
1995年3月生。中学校教員を勤めた後、学生時代のアルバイト先へUターン。日本一のカラオケ企業を志すも失敗。▶不動産業で再スタートし、大手賃貸仲介・管理会社から、士業連携の売買仲介・コンサル会社を経て起業。▶相続放棄された地方の空き家を再生し、利回り30%で運用中。■保有資格: 行政書士/宅地建物取引士/FP2級/賃貸不動産経営管理士 ■第35回SASUKE出場
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