相続関連

銀行預金の相続手続きで押さえるポイント

ginkou
Nose Kohei

銀行預金の相続手続きの流れ

銀行預金の相続手続きの流れについては、以下のステップに従って進められます:

  1. 遺言書の確認・遺産分割協議の実施:
    • 遺言書がある場合は、その内容に従います。
    • 遺言書がない場合は、法定相続人全員で遺産分割協議を行います。
  2. 相続発生を銀行に知らせ、手続きを申し出る: 銀行に相続発生を通知し、必要書類を受け取ります。
  3. 必要書類の準備: 相続人の戸籍謄本、被相続人の死亡証明書、印鑑証明書などが必要です。
  4. 払い戻しや名義変更の手続き: 必要書類を銀行に提出し、払い戻しや名義変更を行います。

注意点として、手続きを放置すると口座が休眠状態になり、最終的には預金保険機構に移管される可能性があります。また、預金を引き出すと相続放棄や限定承認が選択できなくなることがあるため、注意が必要です。

必要な書類

  • 遺言書がある場合
    • 遺言書
    • 検認調書または検認済証明書(公正証書遺言以外の場合)
    • 被相続人(亡くなられた方)の戸籍謄本または全部事項証明(死亡が確認できるもの)
    • 遺産を相続する方(遺言執行者がいる場合は遺言執行者)の印鑑証明書
    • 遺言執行者の選任審判書謄本(裁判所で遺言執行者が選任されている場合)

  • 遺産分割協議書がある場合
    • 遺産分割協議書(法定相続人全員の署名・捺印があるもの)
    • 被相続人の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書(出生から死亡までの連続したもの)
    • 相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書

  • 遺言書や遺産分割協議書がない場合:
    • 被相続人の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書(出生から死亡までの連続したもの)
    • 相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書
    • 相続人全員の印鑑証明書

これらの要点を参考に、銀行預金の相続手続きをスムーズに進めてください。

銀行の相続手続きにかかる期間

銀行の相続手続きにかかる期間は、一般的には約2週間から1ヶ月程度とされています。ただし、これはあくまで目安であり、必要書類の取りまとめや銀行での内容確認に時間がかかる場合もあります。事前に必要書類を集めておくことで、手続き期間を短縮することが可能です。

具体的な流れとしては、以下のようになります:

  1. 亡くなった人の口座が凍結される – 銀行側が相続発生を把握した時点
  2. 手続開始の申し出 – 1日
  3. 必要書類の取得と提出 – 約1週間
  4. 銀行側の内容確認と預金の払い戻し – 1週間から1ヶ月

また、銀行によっては、相続手続きにかかる期間が異なる場合があります。例えば、ゆうちょ銀行では約1ヶ月、三井住友銀行では2~3週間が目安となっています。

相続手続きには法的な期限が定められていないため、口座の持ち主が亡くなってから時間が経過していても手続きは可能です。ただし、相続税の申告には相続開始から10ヶ月以内の期限があるため、財産を調査する意味でも早めに手続きを始めることが推奨されます。

銀行の相続手続きにかかる費用

銀行の相続手続きにかかる費用は、ケースによって異なりますが、一般的には以下のような費用が発生することが多いです:

  1. 必要書類の取得費用:
    • 戸籍謄本: 1通あたり450円
    • 除籍謄本: 1通あたり750円
    • 改製原戸籍謄本: 1通あたり750円
    • 戸籍の附票: 1通あたり300円
    • 住民票: 1通あたり300円
    • 印鑑証明書: 1通あたり300円
    • 固定資産税評価証明書: 1通あたり300円
    • 登記事項証明書: 1通あたり600円
  2. 専門家への委託料:
    • 相続手続きを専門家に依頼した場合、その委託料が加わります。司法書士や弁護士などによって異なりますが、一般的には10万円〜20万円程度が目安です。

銀行の相続手続きの注意点

銀行の相続手続きにはいくつかの重要な注意点があります。以下に主なポイントをまとめました:

  1. 口座の凍結: 口座名義人が亡くなると、その人の銀行口座は凍結され、原則として入出金ができなくなります。
  2. 必要書類の準備: 相続手続きには、遺言書、戸籍謄本類、印鑑証明書、通帳やキャッシュカードなど、さまざまな書類が必要です。
  3. 遺言書の確認: 遺言書がある場合は、その内容に従って手続きを進めます。遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。
  4. 預貯金の引き出し: 相続手続きが完了する前でも、一定の条件下で預貯金を引き出すことが可能な場合があります。
  5. 相続放棄の場合: 相続放棄を検討している場合は、被相続人の預貯金に手を付けないように注意が必要です。
  6. 法定相続情報一覧図の利用: 戸籍謄本類は法定相続情報一覧図で代用できることがあります。

遺産分割前に預貯金を一部払い戻す方法

遺産分割前に預貯金を一部払い戻す方法について、以下のポイントを把握しておくと良いでしょう。

預金払戻制度

  • 預金払戻制度は、遺産分割協議が完了する前でも、各相続人が単独で被相続人の預金の一部を引き出せる制度です。
  • この制度は、2018年の税制改正により導入されました。

利用のメリットとデメリット

メリット:

  1. 生活費の確保: 相続が発生した際、被相続人と生計を共にしていた家族が生活費を確保できます。
  2. 葬儀費用の支払い: 葬儀費用を遺産から支払うことができ、相続人の負担を軽減できます。
  3. 債務の返済: 被相続人の債務返済に遺産を使用できます。

デメリット:

  1. 相続放棄の制限: 預金払戻制度を利用すると、相続放棄ができなくなる可能性があります。
  2. 遺言の存在: 遺言がある場合、預金払戻制度の利用が制限されることがあります。
  3. 遺産分割協議への影響: 払い戻しを行った場合、その分を遺産分割協議に含める必要があります。

この制度は、相続人が遺産分割協議が終了する前でも、一定の条件のもとで被相続人の預貯金の一部を引き出せるようにするものです。

払い戻し方法

金融機関に直接請求:

  • 相続人が単独で手続きできます。
  • 引き出せる金額は、相続開始時の預金額×1/3×払い戻しをする相続人の法定相続分で計算されます。
  • 一つの金融機関につき上限は150万円です。

必要書類:

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本類。
  • 相続人全員分の戸籍謄本または全部事項証明書。
  • 払い戻しをする相続人の印鑑証明書と本人確認書類

注意点:

  • 預金払戻制度を利用する際には、相続放棄ができなくなることや遺言の影響を考慮する必要があります。
  • 遺産分割協議中でも一部の金額を引き出せるため、遺産分割調停や審判が終了するまで待たずに必要な支出を行えますが、即座に払い戻しを受けられるわけではありませんのでご注意ください。

行政書士に依頼するメリットとデメリット

行政書士に銀行の相続手続きを依頼する際のメリットとデメリットについては、以下のような点が挙げられます。

メリット:

  1. 最適な相続手段を選ぶことができる: 行政書士は相続の専門家であり、最適な手段を提案してくれます。
  2. 戸籍謄本などの書類収集の手間が省ける: 必要な書類の収集を代行してくれるため、個人で行う手間が省けます。
  3. 何度も銀行に足を運ぶ必要がない: 行政書士が代わりに手続きを進めてくれるため、銀行への複数回の訪問が不要になります。
  4. 相続手続きでのトラブルが事前に避けられる可能性がある: 専門的な知識を持つ行政書士がいることで、トラブルを未然に防ぐことができます。
  5. 弁護士等の他の専門家より比較的安価: 行政書士は他の法律専門家に比べて費用が安価な場合が多いです。

デメリット:

  • コスト: 行政書士に依頼する最大のデメリットは費用がかかることです。依頼する際は、そのコストとメリットを比較検討する必要があります。

まとめ

相続手続きは複雑であり、専門的な知識が必要な場合が多いです。手続きに不安がある人は、行政書士に依頼することで、手続きの正確性を高め、時間や労力を節約することができます。費用を確認し、依頼するかどうかを検討してみましょう。

遺言・相続専門の当行政書士事務所では、街の身近な法律家としてお客様に寄り添い「安心」「丁寧」なサポートを心がけております。遺言・相続についてお悩みのある方は、お気軽にお問合せくださいませ。

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この記事を書いた人
野瀬 航平
野瀬 航平
株式会社アンモライト代表取締役/ノア行政書士事務所代表
1995年3月生。中学校教員を勤めた後、学生時代のアルバイト先へUターン。日本一のカラオケ企業を志すも失敗。▶不動産業で再スタートし、大手賃貸仲介・管理会社から、士業連携の売買仲介・コンサル会社を経て起業。▶相続放棄された地方の空き家を再生し、利回り30%で運用中。■保有資格: 行政書士/宅地建物取引士/FP2級/賃貸不動産経営管理士 ■第35回SASUKE出場
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