遺産分割協議の進め方①「認知症の人がいる場合」
はじめに
遺産分割協議は、相続人全員の合意によって行われるべきものです。しかし、相続人の中に認知症の方がいる場合、通常の手続きでは問題が生じる可能性があります。
認知症の相続人の参加義務
認知症の相続人であっても遺産分割協議に参加する必要があります。認知症の相続人を除外して行った協議は無効となります。
有効な遺産分割協議のための意思能力
遺産分割協議を有効に行うためには、相続人が自分の行為の結果を判断できる精神能力、すなわち意思能力が必要です。重度の認知症の方はこの意思能力を欠くとされており、その状態で協議に参加させても協議は無効になります。
認知症の相続人がいる場合の遺産分割方法
法定相続分どおりに相続する: 相続財産を法定相続分に従って分割することで、協議は不要になりますが、実際には不動産の売却などが困難になる可能性があります。
成年後見制度の利用: 認知症の相続人に代わって成年後見人が遺産分割協議に参加し、有効な協議を行うことができます。
成年後見制度の活用
成年後見制度を利用することで、認知症の相続人に代わって成年後見人が遺産分割協議に参加し、有効な協議を行うことが可能になります。成年後見人が署名押印すれば、有効な遺産分割協議書を作成できます。
遺留分侵害請求権の行使
認知症の相続人であっても、遺留分侵害請求権の行使は可能です。ただし、認知症の程度によっては家庭裁判所に成年後見開始の申立てをし、選任された成年後見人との間で遺産分割協議をする必要があります。
遺留分の放棄
認知症の相続人は、遺留分の放棄は通常の方法では行えません。成年後見制度を利用して後見人が手続きを行うことができます。
まとめ
認知症の相続人がいる場合の遺産分割協議は、通常の手続きとは異なる特別な配慮が必要です。成年後見制度を利用することで、有効な遺産分割協議、遺留分侵害請求権の行使、遺留分の放棄が可能となります。適切な手続きを行うことで、認知症の相続人の権利を守り、遺産分割協議をスムーズに進めることができます。
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