相続関連

これだけ押さえれば安心!相続の基礎知識

相続
Nose Kohei

相続の原則

相続開始の原因(「いつ」相続が発生するか)

相続は人の死亡を原因として開始され、その瞬間に相続人による遺産の共有が始まる扱いになります。実際の相続の過程では、被相続人の死亡、死亡届、葬儀、遺産分割協議、相続登記などを経、相続人の個人財産になります。

相続人の範囲(「だれが」相続するか)

・配偶者は常に相続人になります。

・第1順位→子(または孫)

・第2順位→父母(または祖父母)

・第3順位→兄弟姉妹(または甥姪)

相続財産の範囲(「なにを」相続するか)

相続が開始すると、被相続人の財産に属した一切の権利義務は、原則、すべて相続人が承継します。そのため、ケースによっては、プラスの財産をマイナスの財産(負債)が上回る場合があります。

相続分(「どれだけ」相続するか)

相続分とは、共同相続において、各相続人が相続すべき権利義務の割合です。被相続人は、遺言によって相続分を指定することができますが、この指定がない場合、一応の割合として、民法が定める相続分(=法定相続分)の規定が適用されます。

具体的には、生前贈与、遺贈(遺言による贈与)、特別の寄与(財産の維持や介護による貢献)などを考慮し、遺産分割がなされ、最終的な相続人個人の相続財産が確定します。

香典は祭祀主宰者や遺族への贈与として扱われるため、相続財産に含まれません。一般的には、葬祭費用への充当し、余りがあれば祭祀主宰者が以後の供養・祭祀に充当されます。

相続の選択

相続選択の自由

・相続開始により被相続人の財産は包括的に相続人に承継されます。

・相続人はこれを「単純承認」「限定承認」「相続放棄」のいずれかを選択できます。

熟慮期間

・相続人には、相続財産の状況を調査して損得を考え、「単純」「限定」「放棄」のいずれかを選択をするための期間が与えられています。

・この期間は「自己のために相続の開始があったことを知ったとき」から起算して3ヶ月以内と定められています。

種類意義・効果手続き等
単純承認相続人は、一身専属的な権利を除いて、被相続人の一切の権利義務を包括的に承継する。 したがって、被相続人に借金があれば、相続人は自己固有の財産で弁済しなければならない。申述や届出などに方式はない。次の①〜③の一定の事由がある場合に、当然に単純承認をしたとみなされる。 ①相続財産の全部または一部の処分 ②熟慮期間の経過 ③背信的行為があった場合
限定承認相続した財産の範囲内で被相続人の債務を弁済し、余りがあれば、相続できるという合理的な制度。しかし、手続きが煩雑で、相続人全員で行わなければならないため、ほとんど利用されていない。以下の①〜③の手順で行う。 ①熟慮期間内に財産目録を調整する。 ②相続人全員で家庭裁判所に限定承認の申述をする。 ③債権者に債権の申出を催促するなどの手続きを経て、清算手続を行う。
相続放棄相続人が相続開始による包括承認の効果を全面的に拒否する意思表示である。 相続放棄をした者は「初めから」相続人にならなかったものとみなされる。 したがって、代襲相続原因にならない。熟慮期間内に家庭裁判所にその旨を申述する。 家庭裁判所が相続放棄の申述を受理した場合、申述人は、家庭裁判所が相続放棄の申述した証明書として、「相続放棄申述受理証明書」の交付を受けることができる。

遺産分割

遺産分割の意義

遺産分割は、共同相続における遺産の共有関係を解消し、遺産を構成する個々の財産を各相続人に配分して、それらを各相続人の単独所有に還元する手続きです。

「遺産分割の基準」として、「遺産に属する物または権利の種類および性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態および生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。」とされています。

遺産分割の対象

マイナス財産(借金、債務)は、遺産分割の対象にはならず、相続開始と同時に当然分割されて、法定相続分により各相続人が負担します。具体的に、だれが、どれだけ相続するかは、債権者との協議に委ねられています。

遺産分割の方法

遺産分割には「現物」「換価」「代償」「共有」の4つの方法があります。1つの方法で行うこともあれば、複数の方法を活用して行うこともあります。

方法内容
  現物分割現物をそのまま配分する方法。 遺産を共同相続人に現実に分けて分割するものであり、たとえば遺産が土地であれば、分筆して分割する。
換価分割遺産の中の個々の財産を売却し、その代金を配分する方法。
代償分割現物を特定の者が取得し、取得者は他の相続人にその具体的相続分に応じた金銭を支払う方法。 分割協議で代償金の支払いを約束した相続人が、約束を破って支払いをしないこともあり得るので、代償金を受ける相続人はリスクが伴う。したがって、代償分割を選択する前提条件として、現物を取得する相続人にその支払い能力があることが必要である。
  共有共同相続人が、それぞれ共同所有の割合としての持分を有して一つの物を所有する方法。 上記3つの分割方法が困難なときに選択されることが多い。なお、共有は将来の相続を複雑にする原因になるおそれがある。

遺産分割自由の原則

遺産分割の当事者全員の合意があれば、法定相続分や指定相続分に合致しない分割、被相続人の指定する遺産分割方法に反する分割も有効です。

したがって、遺産分割協議は法律や遺言者の意思より優先します(死者の意思は生者の意思を拘束することはできない)。

遺産分割の時期

遺産分割請求権は、消滅時効にかかりません。したがって、共同相続人は、被相続人は遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部または一部の分割を請求することができます。なお、遺産の分割について、共同相続人間で協議が整わないとき、または協議をすることができないときは、各共同相続人は、その全部または一部の分割を家庭裁判所に請求することができます。

遺産分割の効果

現実の遺産分割は、遺産の共有状態が遺産分割によって各共同相続人の単独所有または特定の共同相続人の共有に帰するというプロセスを経ます。しかし、法的には、遺産分割の効果は相続開始に遡り、各相続人の権利義務は被相続人から直接承継されたものとして扱われます。

預金の凍結

預金者の死亡を知った銀行は、死亡の登録を直ちに行います。その結果、被相続人の口座での支払・振込等が一切できなくなります(いわゆる「預金口座の凍結」)。

金融機関が預金口座を凍結する目的は、以下の2点です。

  • 相続預金が流出することによる二重払いの被害を防止するため
  • 相続人が被相続人の印鑑やキャッシュカードで預金を払い戻すことによる相続預金の無制限の変動を防止するため

実際に、預金口座が凍結されると、以下のことができなくなります。

  • 各種公共料金の引落し
  • 賃料の振込
  • 住宅ローンの引落し
  • その他、口座振替や自動引落の対象となっているもの

「預金口座の凍結」による不都合が生じる場合、事前に以下のような対策を行う必要があります。

  • 被相続人と同居している者がいる場合は、その者が各窓口に連絡をして、引落し先を同居人の口座に変更する。
  • 被相続人が一人暮らしだった場合は、その不動産を取得する者が明らかであれば、引落し先を取得する者の口座に変更する。

専門家に依頼する際に気をつけるポイント

士業にはそれぞれ職域があります。たとえば、紛争状態になった場合、行政書士や司法書士では、業務を継続することができないため、弁護士へ引き継ぎます。弁護士を介して解決するとなると、時間とお金が余計にかかってしまいます。「円満に話し合う」ことが、ご自身の身を守ること、紛争を予防することにつながります。

遺言・相続専門の当行政書士事務所では、街の身近な法律家としてお客様に寄り添い「安心」「丁寧」なサポートを心がけております。遺言・相続についてお悩みのある方は、お気軽にお問合せくださいませ。

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相続・空き家の専門家
野瀬 航平
野瀬 航平
株式会社アンモライト代表取締役/ノア行政書士事務所代表
1995年3月生。中学校教員を勤めた後、学生時代のアルバイト先へUターン。日本一のカラオケ企業を志すも失敗。▶不動産業で再スタートし、大手賃貸仲介・管理会社から、士業連携の売買仲介・コンサル会社を経て起業。▶相続放棄された地方の空き家を再生し、利回り30%で運用中。■保有資格: 行政書士/宅地建物取引士/FP2級/賃貸不動産経営管理士 ■第35回SASUKE出場
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