相続関連

失敗しない生前整理の進め方

生前整理
Nose Kohei

生前整理とは?

生前整理とは、自分の生きている間に、自身の財産や所有物を整理し、相続をスムーズに進めるための活動です。これには、不用品の処分、財産目録の作成、遺言書やエンディングノートの準備などが含まれます。生前整理は、自分が亡くなった後の遺族の負担を軽減し、大切な財産や思い出の品を確実に引き継いでもらえるようにするために行います。

生前整理は、人生の終わりを意識した「終活」の一部とも位置づけられており、不要な物を断って捨てる「断捨離」だけでなく、必要な物や財産を整理して、エンディングノート・財産目録・遺言書などを作成しておくことも含まれます。また、生前整理はご自身と他人のために行うという意味合いが強く、遺族が資産や遺品の相続や引き継ぎ、処分をスムーズに行えるように整理することが目的です。

生前整理の基本的な流れ

生前整理は以下のステップに沿って進めることが一般的です。

  1. ものの整理: 不要なものと必要なものを選別し、家の中を片付けます。断捨離のように物を減らすことも含まれます。
  2. 相続財産整理と目録作成: 現金、預貯金、有価証券、貴金属、不動産など、相続財産の対象となるものを把握し、整理します。財産目録を作成しておくことが推奨されます。
  3. 遺言書作成: 自分の死後の希望を家族や親しい人に伝えるために、遺言書を残します。
  4. エンディングノートの作成: 介護や医療、葬儀の希望をまとめたエンディングノートを作成します。これにより、死後に自分の希望を叶えることが可能になります。
  5. デジタル機器の情報・データ整理: パソコンやスマートフォンのパスワード、SNSのアカウント情報など、デジタル製品の情報も整理します。

生前整理をするメリットとデメリット

生前整理には、以下のようなメリットとデメリットがあります。

メリット

  1. 遺族の負担軽減: 生前整理を行うことで、自身が亡くなった後の遺族の負担を軽減できます。遺品整理や相続手続きがスムーズに進むようになります1
  2. 相続トラブル防止: 財産の内容や分配について事前に整理し、遺言書を作成しておくことで、相続トラブルを防ぐことができます。
  3. 心の整理: 自身の人生を見つめ直し、残りの人生計画を立てやすくなるという精神的なメリットがあります。
  4. 大切な財産の確実な引継ぎ: 生前整理を通じて、大切な財産や思い出の品を確実に家族に引き継ぐことができます。

デメリット

  1. 時間と労力: 生前整理は、資産や家の中の物を一から見直す作業であり、かなりの時間と労力が必要です。
  2. 感情的な困難: 自分の物品を手放すことに対する感情的な困難が伴うことがあります。
  3. 処分にかかる費用: 不用品の処分には、場合によっては費用がかかることがあります。特に大型の家電や家具などを処分する際には、その費用が高くなる可能性があります。

生前整理を行う際の注意点と対策

生前整理を行う際の注意点と対策は以下の通りです。

注意点

  1. 計画性: 急いで全てを行う必要はありません。肉体的・感情的な負担を考慮しながら、一つずつ始めていくことが大切です。
  2. 価値のあるものの見極め: まだ必要になる可能性のあるものや、価値のあるものまで捨ててしまわないように注意しましょう。
  3. 家族とのコミュニケーション: 生前整理を進めるときは、家族に相談して意向を伝え、意見を聞いたり、所有物の取捨選択を助けてもらったりすることが重要です。

対策

  1. エンディングノートの活用: 必要なものの分類や財産情報を整理するのに便利です。ただし、エンディングノートは遺言としての効力はありませんので注意が必要です。
  2. 思い出の品物の扱い: 故人の思い出がつまった品物の処分は、遺族にとっても心苦しい作業です。デジタル化や写真に撮るなどして保管する方法も検討しましょう。
  3. デジタルデータの整理: パソコンやスマートフォンに保存されている情報の整理も重要です。ログイン情報などをメモしておき、遺族がスムーズに対応できるように準備しておくことが大切です。

生前整理の成功例と失敗例

生前整理における成功例と失敗例については、以下のような情報があります。

成功例

  • 財産の明確な分配: Aさんは生前整理を通じて、遺族に財産の分配方法を明確に伝え、遺族間の争いを防ぎました。
  • 遺族間の争いの減少: B社の調査によると、生前整理を行った人の遺族は、整理を行わなかった場合に比べて遺族間の争いが半減したと報告されています。
  • 賃貸化による収益: ある家族は生前整理をしたことで、物がなくなった二世帯住宅の一世帯分を賃貸にすることができ、収益を得ることができました。

失敗例

  • 感情的な困難: 生前整理は感情的な困難を伴うことがあり、特に大切な思い出の品の処分に際して、遺族が心苦しい思いをすることがあります。
  • デジタルデータの整理の欠如: パソコンやスマートフォンに保存されている情報の整理が不十分で、遺族が必要な情報にアクセスできないケースが増えています。

生前整理の業者選びのポイント

自分で生前整理を進められない人、時間がない人、不安がある人は、生前整理の業者に依頼することも検討しましょう。依頼する際のポイントは、信頼できる業者を選ぶことが最も重要です。以下に、業者選びのポイントをまとめました。

  1. 実績と評判: 業者の実績や口コミ、評判を調べます。信頼できる情報源からの推薦や、実際にサービスを利用した人の意見は参考になります。
  2. 見積もりの透明性: 複数の業者から見積もりを取り、明細が明確であるか確認します。追加料金が発生しないよう、事前にしっかりと確認しましょう。
  3. サービス内容: 自分に必要なサービスを提供しているかどうかを確認します。不用品の処分だけでなく、買取やデジタルデータの整理など、必要なサービスが含まれているかをチェックします。
  4. 費用と予算: 費用相場を把握し、自分の予算に合った業者を選びます。費用を安く抑える方法についても、事前に業者と相談しておくと良いでしょう。
  5. 対応の丁寧さ: 電話やメールでの問い合わせ時の対応が丁寧かどうかも重要なポイントです。対応が丁寧な業者は、作業も丁寧に行ってくれる可能性が高いです。
  6. 許可と資格: 一般廃棄物運搬許可や関連する資格を持っているかを確認します。これらは業者が適切な処理を行うための重要な指標となります。
  7. アフターサービス: 作業後のアフターサービスが充実しているかも確認しましょう。何か問題が発生した際に迅速に対応してくれる業者を選ぶことが大切です。

信頼できる業者に依頼することで、生前整理をスムーズに進めることができ、自分や家族の負担を軽減することが可能です。業者選びには時間をかけて慎重に行いましょう。

生前整理を業者に依頼する場合の費用

生前整理を業者に依頼する場合の費用は、作業範囲や家の広さなどによって変わりますが、一般的な費用相場は以下の通りです。

  • ワンルーム・1K: 約3万円~8万円
  • 1DK・1LDK: 約5万円~20万円
  • 2DK・2LDK: 約9万円~30万円
  • 3DK・3LDK: 約15万円~50万円
  • 4LDK以上: 約20万円~60万円

これらの費用には、不用品の回収や運搬、廃棄物処分費などが含まれています。ただし、部屋に物が多い場合や、デジタルデータの整理などのオプションサービスを利用する場合は、追加費用がかかることがあります。

また、専門家のアドバイスを元に自分で生前整理を行う場合は、概ね3,000円~2万円程度の費用がかかることが一般的です。

まとめ

生前整理は、亡くなる前に自分自身で身の回りを整えることです。計画的に進めることで、自分自身だけでなく、家族にとっても心の整理となり、未来の生活を豊かにする手助けとなります。ただし、感情的な困難やデジタルデータの整理など、注意すべき点も多いため、慎重に進めることが推奨されます。

業者に依頼することで、時間や労力を節約し、より効率的に整理を進めることができます。ただし、費用を抑えたい場合は、一部の作業を自分で行うなどして調整することも可能です。依頼する際は、複数の業者から見積もりを取り、サービス内容と費用を比較検討することが重要です。

遺言・相続専門の当行政書士事務所では、街の身近な法律家としてお客様に寄り添い「安心」「丁寧」なサポートを心がけております。生前整理に関するご相談にも対応させていただきます。お気軽にお問合せくださいませ。

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この記事を書いた人
野瀬 航平
野瀬 航平
株式会社アンモライト代表取締役/ノア行政書士事務所代表
1995年3月生。中学校教員を勤めた後、学生時代のアルバイト先へUターン。日本一のカラオケ企業を志すも失敗。▶不動産業で再スタートし、大手賃貸仲介・管理会社から、士業連携の売買仲介・コンサル会社を経て起業。▶相続放棄された地方の空き家を再生し、利回り30%で運用中。■保有資格: 行政書士/宅地建物取引士/FP2級/賃貸不動産経営管理士 ■第35回SASUKE出場
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