浄化槽の管理維持と下水道への切り替え
浄化槽とは?
浄化槽とは、家庭や施設から出るし尿や生活排水を浄化するための設備です。主に下水道が整備されていない地域で使用され、地面に埋設されています。浄化槽内で微生物の働きにより汚水が処理され、清潔な水として側溝や地下に放流されます。浄化槽は、環境保護に貢献し、限られたスペースで高度な水処理を可能にする重要な役割を担っています。
浄化槽の仕組みは、以下のようになっています:
- トイレや生活排水が浄化槽に流れ込む。
- 固形物と液体を分離しながら、酸素を嫌う微生物が有機物を分解する。
- ブロワー(空気を送り込む機械)によって酸素を好む微生物がさらに分解を進める。
- 消毒処理を経て、清潔な水として放流される。
浄化槽のタイプと維持費用
浄化槽は、単独浄化槽と合併浄化槽の2種類があり、単独浄化槽はトイレのみの排水を、合併浄化槽はトイレと生活排水の両方を処理することができます。浄化槽の管理には定期的な清掃や点検が必要であり、適切な維持管理が環境保護にもつながります。
- 単独浄化槽:2001年4月以降、新設が禁止されています。
- 合併浄化槽:より高い処理能力を持ち、現在はこのタイプが一般的です。
浄化槽の維持費用については、年間で約5万円が目安です。保守点検が年間3回で各1万円、清掃が年1回で2万円程度が一般的です。ただし、これらの費用は地域や業者によって異なる場合があるため、具体的な金額は専門業者に確認しましょう。
浄化槽の寿命と注意点
浄化槽の寿命と注意点についてお話しします。
浄化槽の寿命
浄化槽の寿命は、いくつかの要因によって異なりますが、一般的には以下のようなポイントがあります:
- 浄化槽本体の寿命: 浄化槽本体は設置後約20~30年程度使用できるとされています1. ただし、埋設場所や地震などの要因によって亀裂や破損が発生する場合もあり、修理や交換が必要になることがあります。
- 付帯設備の寿命: 浄化槽にはブロワーや排水のための放流ポンプなどの付帯設備があります。これらの機器は本体よりも先に劣化することがあります。したがって、本体だけでなく付帯設備についても保守・修理を続けることが必要です。
浄化槽の注意点
- 定期的な清掃と点検: 浄化槽を使用する最大の難点は、各自で定期的な清掃や点検を行わなければならないことです。浄化槽の清掃は年に1回以上、専門の清掃業者に依頼して実施しましょう。点検については、浄化槽の規模や種類によって回数が決まっているため、専門業者に相談してみると良いです。
- 微生物の状態に注意: 浄化槽内の微生物が弱ってくると悪臭の原因となります。適切な管理と清掃を行い、微生物の活性を維持しましょう。
- 付帯設備の交換: 付帯設備の寿命にも注意が必要です。ブロワーや排水の放流ポンプなどが劣化した場合、交換が必要です。
浄化槽の適切な管理と定期的なメンテナンスにより、長寿命を保ちましょう。
浄化槽のメリットとデメリット
浄化槽のメリットとデメリットは以下のとおりです。
浄化槽のメリット
- 環境保護: 浄化槽は、公共の下水道が配管されていない家庭に設置されている汚水処理設備です。洗浄された排水は河川に放流され、川や海の水質をキレイに保ち、海洋生物にも優しい環境を守る役割を果たします。
- 高度処理: 浄化槽は窒素やリン除去などの高度な処理にも対応できます。
- スペース効率: 設置場所は各家庭で、車1台分程度のスペースしか必要ありません。地中に埋めてしまうため目立ちません。
- 災害に強い: 長い配管が不要なため、地震などの災害にも強いです。
浄化槽のデメリット
- 定期的な清掃と点検: 浄化槽を設置した場合、各家庭で浄化槽の清掃や点検が義務付けられます。しかし、専門業者に依頼すれば排水処理を維持できます。
- 寿命と交換: 浄化槽本体やブロアー(空気を送る部品)には寿命があり、時期が来たら交換が必要です。
- 電気代: 浄化槽を維持するために電気を使用するため、電気代がかかります。
- 悪臭の注意: 微生物が弱ってしまうと悪臭を放つ原因になるため、漂白剤などの刺激物を流さないように注意が必要です。
浄化槽を下水道に切り替える際の工事内容や費用相場も考慮しながら、最適な選択を検討してくださいね。
浄化槽から下水道への切り替え
浄化槽や汲み取り式トイレから公共下水道に切り替える際に行う工事があります。ここでは浄化槽から公共下水道への切り替えについて詳しく説明します。
浄化槽から下水道への切り替え工事の流れ
- 市から案内と説明会: 市から案内が届き、対象地域の住民が集まって工事の説明が行われます。その後、宅内の接続工事を行う業者からポスティングや訪問の営業が始まります。
- 本管工事と宅内工事申請: 家の前の道路に本管という大きな下水道管が入り、「公共桝」という汚水を集める容器を設置します。その後、宅内工事を行うために工事契約をした業者が市へ工事申請を行い許可が下りた後に宅内工事が行われます。
- 宅内工事: 工事が始まる前に雨が降っていないことを確認し、工事範囲に物がないようにします。工事は最初に浄化槽に残っている物をすべて取り出します。最終的には下水道から家の敷地までの配管経路を改修します。
浄化槽から下水道への切り替えのメリット
- 電気代削減: 下水道へ切り替えることで、浄化槽に空気を送り込むポンプの電気代がかからなくなります。
- 維持管理・メンテナンス不要: 浄化槽の維持管理や定期的なメンテナンスが不要になります。
ただし、下水道が整備されていない地域では切り替え工事ができない場合もあります。その場合は、合併浄化槽への切り替えが推奨されています。
浄化槽から下水道への切り替えにかかる費用
浄化槽から下水道への切り替えには費用がかかります。一般的な総額は約20万円から70万円程度とされていますが、地域や工事の複雑さ、既存の設備状況によって大きく変動することがあります。工事の費用には、以下のような要素が含まれることがあります。
- 浄化槽の撤去
- 排水設備の工事
- 浄化槽埋め戻し
- 公設マス接続工事
また、自治体によっては切り替え工事に対する補助金や助成金が提供されている場合があるため、費用を抑えることができる可能性もあります。
浄化槽から下水道への切り替えにかかる期間
浄化槽から下水道への切り替え工事にかかる期間は、地域や工事の状況によって異なりますが、一般的には数週間から数ヶ月程度を見込むことが多いです。具体的なスケジュールは、市からの案内や説明会で提供される情報に基づいて決定されます。工事が始まると、最初に浄化槽の最終汲み取りを行い、その後宅内の配管工事に移ります。工事完了後は市役所の検査があり、問題なければ下水道への接続が完了します。
工事期間中は、排水を流せない時間があるため、日常生活に一時的な影響が出ることも考慮する必要があります。また、工事の進行状況や天候によっては、予定していた工事期間が延長されることもありますので、業者との連絡を密に取り、準備をしておくことが大切です。ご自宅の地域の詳細なスケジュールや工事に関する情報は、お住まいの自治体や指定された業者に直接確認しましょう。
まとめ
浄化槽は年間の維持管理費やメンテナンスが必要ですが、下水道が通っていない地域では生活する上では、なくてはならない設備です。ご家庭の浄化槽の仕組みを知り、適切な管理を行うことで、快適な住環境を整えましょう。また、下水道への切り替えが可能な場合、自治体や工事業者に相談し、費用や期間などを確認しましょう。
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