【空き家管理と法律】あなたの財産を守るために

空き家問題とは？

日本では、空き家の数が増加しており、これが社会問題となっています。空き家は、防災、衛生、景観など地域住民の生活環境に悪影響を及ぼすことがあります。適切な管理が行われていない空き家は、倒壊の危険があるだけでなく、犯罪の温床になることもあります。

空き家管理の法的枠組み

空き家対策の推進に関する特別措置法

平成26年に制定された「空家等対策の推進に関する特別措置法」（空家対策特措法）は、空き家の適切な管理と活用を促進するための法律です。この法律により、空き家の所有者は、その管理に関する責任を負うことになりました。空き家による防災、衛生、景観などの地域住民の生活環境への悪影響を防ぐことを目的としています。

主な内容

• 空き家の定義: 居住やその他の使用がなされていない建築物や工作物とその敷地。
• 特定空家等の定義: 倒壊等の危険がある、衛生上有害、景観を損なうなど、放置が不適切と認められる空き家。
• 所有者の責務: 空き家の所有者や管理者は、空き家を適切に管理し、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう努める必要があります。
• 行政の役割: 市町村は空家等対策計画を作成し、空き家の適切な管理と活用を促進します。国は基本指針を策定し、市町村の施策を支援します。

措置と罰則

• 行政指導: 所有者に対して助言、指導、勧告を行い、改善が見られない場合は命令を出すことができます。
• 行政代執行: 特定空家等に対しては、撤去や修繕を命じることができ、必要に応じて行政代執行を行うことが可能です。

改正と現状

「空家等対策の推進に関する特別措置法」は、令和5年12月13日に改正法が施行（改正空家対策特措法）されました。空き家の適切な管理と活用を促進し、地域住民の生活環境を守ることを目的とし、より効果的な対策を講じるために行われました。

改正の主なポイント

• 管理不全空家等への措置: 管理が不十分な空家に対して、市町村がより積極的に介入できるようになりました。
• 特定空家等の定義の明確化: 特定空家等の基準が明確にされ、対象となる空家の範囲が具体化されました。
• 所有者の責務強化: 空家の所有者に対する責務が強化され、適切な管理が求められるようになりました。
• 空家等活用促進区域の設定: 空家の有効活用を促進するための区域を設定し、その中での措置が可能になりました。
• 税制上の措置: 空家の除却や活用を促進するための税制上の措置が導入されました。

空き家を売却する適切なタイミングは？

空き家を売却する適切なタイミングは、いくつかの要因によって異なりますが、以下のポイントを考慮すると良いでしょう。

• 所有期間が5年超え: 物件を所有してからの年数（空き家となる前の期間も含む）によって譲渡所得税の税率が変わり、5年を超えると税率が下がります。
• 空き家となってから3年以内: 空き家になってから3年以内に売却すると特別控除が受けられる可能性があります。
• ライフステージの変化: 大きなライフイベントがあった場合、例えば家族構成の変化や転職など、それに合わせて売却を検討することも一つのタイミングです。
• 相場の動向: 不動産市場の動向を見極め、価格が上昇傾向にある時に売却することで、より高い利益を得られる可能性があります。

これらのポイントを踏まえ、ご自身の状況や市場の状態を考慮しながら、売却のタイミングを決定することが重要です。

空き家売却の注意点

• 名義変更が完了しているか確認: 空き家の所有者が亡くなっている場合、相続手続きを通じて正式な名義変更が必要です。

• 空き家の状態を確認: 売却前に、建物や設備の状態をチェックし、必要に応じて修繕を行うことが望ましいです。
• 空き家の状態を確認: 売却前に、建物や設備の状態をチェックし、必要に応じて修繕を行うことが望ましいです。
• 売り出し価格の設定: 相場を調査し、適切な価格設定が重要です。価格設定は少し高めにしておく余地もあります。
• 長期戦になる可能性を覚悟: 売却には時間がかかることもあるため、焦らず戦略的に進めることが大切です。
• 抵当権の抹消登記: 抵当権が設定されている場合は、売却前に抹消登記を行う必要があります。
• 契約不適合責任: 売却後に契約内容と異なる欠陥が発覚した場合、売主が責任を負うことがあります。
• 税金の対策: 譲渡所得税の特例や節税対策を事前に検討しておくことが重要です。

空き家を売却するメリット

空き家を放置することは、多くのリスクを伴います。しかし、売却することで、これらのリスクを回避し、資産価値を保つことができます。空き家を売却することは、将来のトラブルを避け、安心して資産を管理するために有効な策です。

• 資産価値の最大化: 適切なタイミングで売却することで、資産価値を最大限に引き出すことが可能です。
• 社会貢献: 空き家を売却し、新たな住宅として活用されることで、地域社会に貢献することができます。
• 維持費の削減: 空き家の維持には固定資産税や修繕費などのコストがかかります。売却によりこれらの費用が不要になります。
• 管理の手間が省ける: 定期的な換気や通水などの管理作業が不要になります。
• まとまった資金が得られる: 売却により得られる資金は、他の投資や生活資金に充てることができます。
• 税の優遇: 相続した空き家なら税の優遇が使えなくなる前に売却することで、税金の負担を軽減できる可能性があります。

空き家を売却するデメリット

• 売却手続きでトラブルが起きやすい: 専門家が介在しない取引では、価格交渉や契約条件の不備などトラブルが起こりやすいです。
• 相場より安くなる可能性: 特に買取による売却の場合、市場価格よりも低い価格で売却することになる可能性があります。

まとめ

空き家を適切に管理し、売却することは、個人の資産を守るだけでなく、地域社会の発展にも寄与します。法律に則り、賢明な選択をしましょう。

これらの注意点やメリット・デメリットを踏まえ、売却プロセスを進める際には、不動産専門家や税理士と相談することをお勧めします。売却に関するさらに詳しい情報や、具体的なご質問があれば、お気軽にお尋ねくださいませ。お役に立てるよう、サポートさせていただきます。

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野瀬 航平

株式会社アンモライト代表取締役/ノア行政書士事務所代表

1995年3月生。中学校教員を勤めた後、学生時代のアルバイト先へUターン。日本一のカラオケ企業を志すも失敗。▶不動産業で再スタートし、大手賃貸仲介・管理会社から、士業連携の売買仲介・コンサル会社を経て起業。▶相続放棄された地方の空き家を再生し、利回り30%で運用中。■保有資格: 行政書士/宅地建物取引士/FP2級/賃貸不動産経営管理士 ■第35回SASUKE出場